着物の仕立て
江戸小紋の仕立て
今回のご依頼の仕立ては、仕立て上がりの小紋と、新品の江戸小紋の反物を預かりました。裏地の八掛けの扱いが、ややこしく、仕立て上がりの小紋に付いている八掛けを、反物の江戸小紋の裏地に使用し、もう一つの方は、解き湯のしとスジ消しをして、反物に戻し、裏地は新品の八掛けと胴裏を使い、今のサイズに仕立て直します。そして、今回の事例は、江戸小紋の反物についてです。
江戸小紋と言う、呼び名は、京小紋と区別する為に、昭和二十九年に付けられました。それまでは、『小紋(コモン)』とか、『裃小紋(カミシモコモン)』と、呼ばれていました。 江戸小紋の代表格には、『鮫小紋(サメコモン)』、『角通し小紋(カクトオシコモン)』、『行儀小紋(ギョウギコモン)』の三つがあり、いろいろな帯合わせが、楽しめます。
この小紋の地色は、『藤袴(フジカハマ)』と言います。白色に紅色が、ほんの少し入った薄い紫色です。藤袴は、秋の七草の一つなので、秋にお召し頂くと、より引き立ちます。文様は、梅の花が着物全体に散りばめられ、唐草(カラクサ)がバランス良く梅の花を繋ぎ、引き立てています。
『唐草梅の花散らし』の意味は、「百花の先駆け」と梅は呼ばれています。冬が終わりに近づき、春より、先に香り高く先染めるので、【幸せの兆し、吉兆として、】 古来、日本では尊ばれています。そして、もう一つの文様、唐草は、古代エジプトが、発祥のデザインで、シルクロードを東へ、中国より、日本に伝わりました。今も、奈良の正倉院には、当時の中東の唐草のデザインが施されている宝物が保管されています。唐草の蔓(ツル)や葉が、絡み合いながら成長するところから、【永く、絶えず、繋がり続く、】と思い、そこから、吉祥文様として使われるようになりました。
お手持ちの着物を、仕立て直し、サイズ直しをさせて頂いております。例えば、八掛けの裾が、擦り切れたり、八掛けの色目が合わなくなったり、胴裏が黄ばんで取り替えたい。ネットで、購入した着物の着丈や袖丈が、長いとか、短いとか、などご希望に添うように仕立て直しをさせて頂いております。