着物の仕立て
雲の羽衣 絞り入り訪問着の仕立て
寒さが一段と強まる時季には、着物の温もりが恋しくなります。 師走から新年と年を挟んだ、この季節はいつもにも増して、着物に親しむ機会が多いもの。大きなパーティーや芸能の集まりでは、華やかな方々をホテルなどで多く見かけます。
この訪問着は下前の裾の柄が極端に少ない珍しい着物です。上前の裾を紫色で天の川のような川を絞りで大胆に染め分けて、メインである上前の着物柄の立ち姿が大変美しく映える意匠構成の着物になっています。疋田絞りによる水文様に流れる花尽くしの花々が色とりどりに表現されて、薄紫色の落ち着いた地色ながら、綸子地が相まって、上品で煌びやかに感じられます。
仕立てについてですが、絞りと刺繍の柄の訪問着です。訪問着と言っても、柄が合うところは上前裾と上前身頃がら脇のみで、他の訪問着に比べて柄合わせが少な目です。
仕立てで気を使ったところは、絞り部分が縮んでいるので、地入れで出来るだけ生地の歪みを整えたところです。