着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

着物の仕立て

甘き香りの花々の訪問着の仕立て


眺めていると花々の甘い香りが漂い、四季折々の音色が五感を廻ります。
四季それぞれに咲き誇る花々に包まれた訪問着は、その季節の風情を情緒いっぱいに感じさせてくれます。
春到来を知らせてくれる『椿』、早春の『梅』、春爛漫の『桜』、五月野の『杜若(カキツバタ)』、水無月の『花菖蒲(ハナショウブ)』、そして、夏の『紫陽花』に『朝顔』、秋には『桔梗』、『撫子(ナデシコ)』、『女郎花(オミナエシ)』、『萩』、『紅葉(モミジ)』と、花の訪れは四季を告げる花便りです。
友禅染めによって四季の草花模様が、繊細に着物全体に表現された訪問着です。
漫画調の独特な筆遣い、色調と共に可愛らしく映ります。 花々の配し方も面白さが感じられます。淡い紫色地に表された花の中に上前衽(ウワマエオクミ)から前・後の身頃、そして下前裾に流れる様に裾ばかしが設けられています。

今回の仕立てについてですが、この一つ紋入りの訪問着の注意した点は、花柄が小さ目でデザインも細かいので、花弁が少しズレても目立ちませんが、枝とぼかし部分がズレてしまうと目立つため、枝とぼかしは特にズレない様に気を付けました。
紋が入っていますので正式な場所にも着用出来ます。

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