着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

着物の仕立て

精密な十字詰め亀甲の結城紬着物の仕立て


街で見かける結城紬の着物は、織物ゆえに従来のしきたりに従えば、あくまでも気軽外出着、普段着扱になり ます。しかし、結城紬特有の味わい、深い風合い、後染め小紋と見間違えるほどの精巧な絣模様など、織物な らではの魅力があります。また、普段着にするには高価な品物です。現在の生活に合った織物を気軽な外出着、 普段着の範疇ハンチュウから、着る範囲を少しでも、広げて考えて頂けたならと思います。帯の合わせ方次第 で、着る方の年齢の幅を広げられますし、同じ着物をよそゆきから、普段着まで着分けることが出来るはずです。
凛とした落ち着きのある濃い藍色に、結城紬の特徴ともいえる精密な十字詰め亀甲で、茶屋辻文様を織り出した 結城紬の逸品。小紋着物感覚のカジュアルな織物ですが、この精密な十字亀甲の絣で、写実的に風景文様の 茶屋辻を表現している。柄付けも表現も後染め着物と同じ感覚ですから、様々な織物の中でも格調が高い着物 で少し改まった席に、着用されてはいかがでしょうか。
この仕立てについてですが、少し福与かな方なので、前巾と後巾、衽おくみ巾を広めに割り出して仕立てています。 衽巾は、普通4寸ですが、4寸1分から4寸2分くらいに、衽八掛けの布巾が狭いので、これくらいで一杯です。
特に、抱き巾には注意し、前巾より広くしています。肩くりこしは、標準7分くらいですが、多めに1寸に、そして、肩 明きも少し広く開けます。こうすると、衿が首にくっつかず、ゆったりと添う様に良い感じに着用出来ます。

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