着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

羽織り

輪奈ビロード地に裏地はスカーフ使用の羽織の仕立て


シックな色で、滑らかな毛先と光沢。柔らかな手触りが魅力の絹ビロード地を羽織に仕立てました。
南天模様を織り出した輪奈ビロードの暖かな生地。漆黒の静かな色調と相まって、洒落た趣が感じられます。訪問着にも合わせ易い上衣です。
輪奈ビロードは、防寒用のコート地として使われるのが定番ですが、今回は、ロングの羽織としてのお誂えの仕立てでした。
黒地で南天の地模様は、立体感と重厚感があります。しかし、輪奈ビロードは見た目よりも軽く、感触は、柔らかな繊細な手触りです。地模様の南天は、南を難と掛け、天を転に掛けて、難と転ずる。という掛け言葉から、縁起の良い木。幸運を招く木とされています。喜祥文様のひとつに使われています。
羽織の裏地には、スカーフを使いました。お客様のご要望です。肩裏は個性的な、賑やかなオーケストラ、歌劇の漫画の模様になりました。
今回の仕立てでは、光に当たり具合によって、生地の表情が変わりますので、生地の合わせ方を注意して、裁ち合わせをしなければなりません。縫いはループ状になった輪奈ビロードの毛先を潰してしまわないように縫う事に最も注意を払い、仕立てています。

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