着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

仕立て直し

仕立て直し事例 - 身長差のある母娘の仕立て直し 「丈出し」


私共のところに『お母さんの着物を自分のサイズに仕立て直してもらえませんか?』とお問い合わせ頂きました。椿模様の銀鼠(ぎんねず)色の紬地のお着物が当社に届き、このお母様の着物の着丈を測ってみたら4尺1寸5分です。お母さんの身長が150cmほどで付属のメモにはご本人様は身長が165cm、お母様との身長差が15cmあります。この着物に15cmの身丈を出せる生地の縫い込み(内揚げ)があるか調べましたが、15cmを出せるほどの揚げ代はありません。
このお着物を全て解き、ハヌイをして、ぬるま湯で洗い張りをし、湯のしをして、生地の折れスジを取り、紬地を綺麗にし、裏地の八掛け、胴裏を新しい物に取り替え、ご本人様のサイズに仕立て直しするのですが、このままの仕立て直しでは身丈がまったく希望寸法通り出来ません。なので今回は『丈出し』という方法で身丈を直しました。
衿下寸法、プラス2~3寸上の部分をバッサリとこの着物を裁断して、御端折りの中に入るように丈出しで4寸ぐらい布を足し継ぎました。足し布をする場合、共布を使うのですが、今回は余った共布も無く、こんな場合は同系色の布を使うのですが、それも無く紺地の布で足し布をしました。御端折りの下側一番最初に締める腰紐の位置に継いで後身頃と前身頃とオクミをそこで継ぎました。
3枚目4枚目の写真をご覧下さい。帯をしてこのお着物を着用した時はこの足し布は見えません。『丈出し』という方法で身長差のある母娘のお着物を仕立て直しました。

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