着物の仕立てと仕立て直し伊藤和裁

男物 事例10

宮城県仙台平の男物袴の仕立て


希少価値がある本場、仙台平の袴の仕立ての注文がきました。
仙台平を織られる職人さんも余りおられないと聞きますが、袴を手縫いで仕立てる方も減っています。
この希少の男物袴を私共も男仕立てでキッチリとキレイに仕立て上げました。
袴地は用尺が決められていますので、普通に取れば、馬乗り袴は後ろが2枚、前が4枚(マチ布が後ろ2枚、前2枚、紐・腰板布・袋布)です。紐をどこで取るかが、裁ちのポイントになります。マチの分としても後ろ2枚と前2枚の継ぎ合わせが入りますし、腰板布と紐は後ろ2尺5寸が2本と前は継ぎ合わせの1丈が必要になってきます。
袴は必ず紐下寸法が必要です。紐下とは、袴の仕立て上がりのことを言い、紐下寸法とは着丈の10分の6(角帯を締める位置)が紐下寸法になります。それを基準にして袴の各寸法、相引き、笹ひだ巾、前腰巾、ひだ巾、後ろ巾、投げなどのいろんな寸法を計算して決めます。袴の場合、腰で帯を締める位置が紐下寸法で決まりますので必ず、着物の着丈の正確な寸法が必要です。ただ、多少は帯を締める位置で融通はききます。私共ではお誂えを仕立て上げ、袴を納める場合は、この写真(2枚目)のように紐を必ずテープで留め、見栄えをさらに引き立てて、たとう紙に入れて納めます。